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レポート「アートと福祉と農のつくば山麓スタディツアー」   2026年5月30日

このツアーは、同日つくばカピオホールで行われる「パスカルズをききながら」コンサートの関連企画です。ツアーで見学する自然生クラブとパスカルズは、映画『日日芸術』で共演しています。自然生クラブの「農」と「アート」の表現の場を中心にめぐりながら、パスカルズとのセッションである『日日芸術』の撮影現場が重なる、不思議な「ロケ地巡礼の旅」になりました。

12時20分につくばセンター駐車場に集合。参加者9人が自然生クラブのバスに乗り込みます。

最初に「農」の現場、農場に向かいます。その途中、農場近くのある原っぱでバスを降りました。そこは『日日芸術』の中で、パスカルズの演奏の中を自然生クラブのメンバーが舞う、とても印象的なシーンが撮影された場所でした。

案内してくれた自然生クラブの江口さんはまた、この地にある蚕影山神社にまつわる金色姫の伝説を語ってくれました。この後お会いする柳瀬さんが仰ったことからも感じましたが、自らが生活する場所の歴史を知り、そこで育まれた文化から学ぶ態度が、自然生クラブの共同生活を地に足をつけるものにしているのだと思いました。

続いて田んぼへ。傍の沢から水をひき、機械ではなく手で植えられた田んぼです。田の表面で黒く見えるシート状のものは、紙マルチというものだそうで、そのマルチを指でつついてその穴に苗を植えます。マルチが雑草が生えるのを抑えてくれるそうです。無農薬の稲作を実現しています。一般のビニール製マルチと違い、紙マルチは容易に土に還っていくそうです。

5月17日に行われた田植えのイベントでは、この田んぼで自然生クラブメンバーによる創作田楽舞が披露されました。

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畑へ移動します。ここではネギ、サツマイモ、ナス、カボチャなど様々な作物を育てています。
 

それから、みとりえんどうまめとジャガイモの畑に通され、見せていただきながら、少し収穫もさせてもらい、お土産としていただきました。みとりえんどうまめの皮がどんな色になったら食べごろなのかも教えていただきながら。私たちは大喜びです。参加者の今晩のおかずには、みとりえんどうまめとジャガイモが並ぶことでしょう。これらの作物は、自然生クラブメンバーが生きる糧として食卓に並ぶほか、購入する会員に向けて送るのだそうです。

 

ちなみに、ジャガイモは近隣の林に棲むイノシシの好物だそうで、(しかし彼らは会員ではないので)侵入を防ぐための柵を設けてありました。

 

「農」の現場を見た後は「アート」の現場へ。田井ミュージアムに到着です。かつて米を貯蔵するための石造りの蔵を改造して、自然生クラブメンバーの制作の場(アトリエ)と舞踏、映写などの表現の場(シアター)としています。

大きな扉を開けて私たちがミュージアムに入っていく様は、『日日芸術』でパスカルズが演奏しながら入っていくシーンと重なっていきます。

写真家の小野紳さんが撮影した、メンバーのポートレートが飾ってありました。

制作の場(アトリエ)は、まさにメンバーが日日、制作をする現場です。またイベント時には、作品を展示するギャラリーにもなります。天井の高い大きな空間で、石造りの蔵は強い日差しの中でも涼しいです。かつて米を守った蔵は、今は表現者を守っています。壁面にはメンバーの描いた作品が掛かっていて、中央のテーブルにはたくさんの画材。その間の机には、彼ら彼女らの制作途中の作品が置いてあり、表現の息遣いが感じられました。私たちが去った後、また制作は始められるのでしょう。

アトリエの扉も、生き生きと描かれています。

ミュージアム見学の後、隣の「カフェソレイユ」でメンバーが収穫した梅や紫蘇、レモンやヤマモモなどで作った飲み物とシフォンケーキをいただきながら、自然生クラブの創設者であり共同代表の柳瀬敬さんから、いろいろお話を聞かせていただきました。

興味深かったのは、今に至るまでの過程は、最初から現在の姿へ向けての意図されたプロジェクトではなかったということでした。筑波山のふもとで農を中心とした共同生活を始めつつ、その時々に出てきた課題や希望を実現するため、いかに様々な人が共に生きていける場を創れるか、近年の福祉関係の法改正も取り込み、試行錯誤しながら今現在があるというようなことを語ってくださいました。

また、一人一人の自由を大切にすることは、現在の社会にありがちな、破綻ない全体の調和(ハーモニー)を絶対視するよりも、それぞれの声が違いとしてそのまま表現され(ポリフォニー)、共有されることのなかにあるのではないかと。

 

このお話の後、ライブの打ち合わせのため、柳瀬さんは会場のつくばカピオに行かれました。そのライブがどんなパフォーマンスになったのか、ポリフォニーとハーモニーはどのように結びついたのかを、二時間後に私たちは目撃します。

最後に、筑波山の山の斜面を登る途中にある自然生クラブのグループホームに案内していただきました。ここでは10数人が生活し、何人かが通いながら、農場やアトリエで様々なものをつくり表現し、共同生活しています。近くで沢のせせらぎが聞こえる、穏やかな空気が流れる場所でした。

炭焼き窯もあります。

この後、私たちはつくばカピオに向かいました。

ライブのすばらしさは、聴いた者にしかわかりませんが、解放感とやさしさに満ち溢れたものでした。

 

終了後、私たちはそれぞれの思い出と、みとりえんどうまめとジャガイモの袋を抱えながら、帰路に着きました。今日一日を振り返る脳裏の映像は、後ろでパスカルズが鳴り響いていることでしょう。

 

自然生メンバーはこの山の麓へ帰ります。そして明日も、描き、踊り、植え、刈り取るのでしょう。その日々の生活の繰り返しが、私たちにとって「豊かさ」とはなんだろうか?と問いかけているように思います。

(写真・レポート/与那覇大智)

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​芸術文化振興NPO準備委員会
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