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あの夜の先で

鈴木菜緒

あの頃、
福島で過ごした子どもたちは知っている
ふるさとへ帰れないクラスメイトのこと
学校に設置された放射線測定器のこと
「ふうひょうひがい」という言葉すらも。

あの頃、
福島で過ごしたわたしは知っている
ひとりで舞台に立つあなたを
アコースティックギターの音色の優しさを
音楽の前で、大人が弱さを見せることも。

わたしはあの子と違って
帰れる場所があるから

わたしはあの子と違って
何もなくしていないから

あなたの音楽にすがることは、
あなたの音楽で救われることは、
間違ってるんじゃないかって思っていた

でも、
そのうちにわかった。
わたしがあの日なくしたもののこと
それはふるさとへの「誇り」
ここで生まれ育って良かったと思う気持ち。

あの頃、
福島で過ごした私は知っている。
南相馬で見た復興花火
Jヴィレッジで見たサーチライト
助け合う人々の背中を。
福島を見捨てずに、一緒に生きてくれた人々のことを。
それらはいつしか、私の心に「誇り」を宿してくれた。

そして今日、
わたしは祈る。
あの日から今日まで、
何度も足を運んでくれたあなたが、
福島と一緒に生きてくれたあなたが、
ひとりじゃありませんように。
となりに、痛みを分かち合える人がいてくれますように。

わたしに祈る。
福島の人の手を
私たちの手を
あなたが取ってくれたように、
わたしもまだ見ぬ誰かの手を取って
明日を生きられますように。

o

warming up

​芸術文化振興NPO準備委員会
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